昭和50年代後半(55~59年) 懐メロ歌謡曲ランキング
■ オイルショックによる高度成長期の終焉
時代を代表する歌姫たちの世代交代
50年代(50年~54年) 昭和史【豆知識】
「東京オリンピック」や「万博」の勢いを借りて戦後猛スピードで進んできた日本の高度成長期も、この頃のオイルショックによって陰りが見え始めました。言い方を変えると、これまで前を向いて国の発展の為に頑張ってきたからこそこのオイルショックにも持ちこたえられたのかもしれません。
長年、野球界を支えてきたスーパースターの二人の内の一人、長嶋茂雄巨人軍監督が辞任、また巨人軍の王貞治選手が現役を引退し、野球界においても大きな流れが起きました。また世界的に衝撃を受けたあのザ・ビートルズの「ジョン・レノン」が自宅前で射殺されたのもこの頃です。
伝説となったジョン・レノンはますますカリスマ性を帯び、ザ・ビートルズに影響されていたとされる、それまで独自のプロモーションによって活動を展開していた吉田拓郎、井上陽水、チューリップ、アリスなどによるミュージシャン達は、数々の大ヒット曲を連発、また楽曲提供するという目覚しい活躍をしていました。
歌謡曲というジャンルにおいても、阿久悠、筒美京平に代表されるような大作家により、「名曲」といわれる素晴らしい作品が量産された時代でもあります。
昭和55年、トップ歌手であり、女優としても脂の乗り切った超売れっ子・山口百恵が、テレビドラマや映画で共演してきた三浦友和との婚約を発表し、引退を表明しました。
昭和の時代を象徴するかのような山口百恵の引退は彼女のファンでなくても衝撃的でしたが、この山口百恵の婚約・引退宣言の翌月、「裸足の季節」でデビューした松田聖子という一際輝く新人歌手の登場はとてもセンセーショナルでした。
この松田聖子の影響によって昭和歌謡界に「アイドル・ポップス」というジャンルにおいて数々のヒット曲が生まれ、芸能プロダクションがこぞって新人歌手の発掘に力を注いで行きました。
また翌年の昭和56年、日本中爆発的ブームを引き起こし、わずか3年間で200億円以上稼いだと言われるピンクレディーが解散を発表しました。まるで打ち上げ花火のようなピンクレディーというデュオは、山口百恵と同様、真逆の個性でありながらも昭和歌謡界を知る上で最も大きな存在感をもつ歌手であると言えるでしょう。
山口百恵、ピンクレディーの引退によって、国民的ブームという一つの時代の終焉を迎えましたが、それと同時に、ニューミュージック、アイドル、演歌と幅の広い、豊かにミックスされた名曲たちが、優れた職業作家やフリーの作家達によって生み出されることになります。
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―昭和50年代(55~59年) 懐メロ歌謡曲ランキング ベスト10―
1位 |
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「恋人よ」 五輪真弓 作詞/作曲 五輪真弓 アジア諸国でも歌われ続けている、五輪真弓の代表曲。男と女のくくりなどなく、「恋人」との悲しい別れを、重厚なそれでいて温かみのある歌詞で綴られ、独特な世界観をもつ彼女が抜群な歌唱力で歌い上げた、昭和歌謡界に残る名曲だ。 |
2位 |
「矢切の渡し」 細川たかし 作詞/石本美由起 作曲/船村徹 ソロの男性歌手は初めてという2度目の日本レコード大賞を受賞したこの曲はしんみりと聴かせるちあきなおみの「矢切の渡し」とは違い、船村演歌を少しアレンジした、軽快な民謡調で、リズミカルな仕上がりになっている。 |
3位 |
「昴(すばる)」 谷村新司 作詞/作曲 谷村新司 雄大な大地、人間の生命力を思い浮かばせる名曲中の名曲だ。もともとウイスキーのCMソングにと作られたこの曲は、CMが流れるやいなや問い合わせが殺到し、メガヒットに結びつく。谷村新司の作る歌は、どの曲もとてつもない感動を呼ぶが、その中でもこの曲は彼の代表曲になるにふさわしい程素晴らしい。 |
4位 |
「さざんかの宿」 大川栄策 作詞/吉岡治 作曲/市川昭介 日本レコード大賞ロングセラー賞を受賞、 累計180万枚という空前の大ヒットを成し遂げたこの曲は 当時まだ無名だった大川栄策を一躍トップ歌手にさせた。 歌唱力はあるものの古賀政男の旧作を歌っていて持ち歌がなかった 大川栄策のために、大作曲家市川昭介氏が書き下ろした曲である。 どこかしら懐かしい香りのする大川栄策の歌声、 「愛しても、愛しても、ああ~人の妻・・」という歌詞もしびれる。 |
5位 |
「娘よ」 芦屋雁之助 作詞/鳥井実 作曲/松浦孝之 「裸の大将」で有名な芦屋雁之助が「木曜ゴールデンドラマ」 で演じてみせた、娘を花嫁に出す父親は観る人の涙を誘い、感動を与えた。 |
6位 |
「奥飛騨慕情」 竜鉄也 作詞/作曲 竜鉄也 五木ひろしなどを手がけたベスト・フレンド代表の和田弘氏が この盲目の歌手・竜鉄也の歌声を聴き、あまりの素晴らしさに仰天したというこの曲は、 もともと流しをしていた竜鉄也が昭和40年代後半に何気なく作った曲だそうだ。 |
7位 |
「氷雨」 日野美歌 作詞/作曲 とまりれん 昭和57年にデビューし、その翌年、 佳山明生の「氷雨」と競作として発売されたが、 日野美歌の歌った方が大ヒットし、紅白歌合戦初出場を果たす。 日野美歌の艶のあるしっとりとした美声がこの曲と見事にマッチし 彼女の代表曲となった。長年に渡って愛され続ける名曲だ。 |
8位 |
「贈る言葉」 海援隊 作詞/武田鉄矢 作曲/千葉和臣 昭和54年、日本レコード大賞作詞賞を受賞した曲である。この時代、まだめずらしかったテレビドラマの主題歌だ。 |
9位 |
「ルビーの指環」 寺尾聰 作詞/松本隆 作曲/尾聡 昭和56年の日本レコード大賞受賞曲。意外と長い期間歌手であり続ける寺尾聰の5枚目のシングルである。また俳優としても素晴らしく、「雨あがる」で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞している。後にも先にもこの両方の賞を受賞しているのは寺尾聰だけだ。彼が作曲したメロディーも、単調ながら大人の恋の何とも言えない渋い香りがし、サングラスをかけたまま、つぶやくような歌い方は当時の歌謡曲にない新鮮さがあった。 |
10位 |
「北酒場」 細川たかし 作詞/なかにし礼 作曲/中村泰士 昭和57年、日本レコード大賞を受賞した曲。演歌や民謡調ではなく、軽快で明るいメロディーで親しみやすく誰でも口ずさめる曲として、この年のオリコン5位を維持し続けた大ヒット曲だ。また当時の人気歌番組「ザ・ベストテン」ではこの年の6月に初出場、その後10週連続ランクインし、年間ランキングではベスト1に選ばれた。 |