昭和30年代後半(35~39年) 懐メロ歌謡曲ランキング

■ 平和の国・日本を世界にお披露目した【東京オリンピック】

30年代(35年~39年) 昭和史【豆知識】




昭和39年、10月に開催される「東京オリンピック」に向けて日本は一丸となり、益々の猛スピードで発展をしていきます。この5年間の大きな出来事といえば、人々の生活に直結する、東海道新幹線の開通、テレビのカラー放送の開始が挙げられると思います。テレビが一般家庭に普及していくようになり、この時代から始まったNHKの大河ドラマや連続テレビ小説、アニメや数々のテレビドラマ、漫才や落語などのお笑いもお茶の間で楽しめるようになりました。

また、戦後庶民の数少ない娯楽の一つであった映画も、石原裕次郎、高倉健、加山雄三、吉永小百合、小林旭、美空ひばりなどといった華々しい大スター達が大ヒット作を次々と連発し、また映画の主題歌も大ヒットするという相乗効果を引き起こしました。

歌謡界では、戦後しばらくロカビリーブームで沸きに沸き、「テネシーワルツ」を原点としたカヴァーポップスが大流行した事は前述しましたが、その中でも作曲家・平尾昌明(平尾昌晃)のオリジナル曲「星はなんでも知っている」はロカビリースタイルである日本歌謡曲の先駆けとなりました。しかし、日本独特の演歌や時代物も益々健在で、浪曲や民謡を歌謡曲に取り入れた、春日八郎や三波春夫、村田英雄という大御所の活躍もあった日本伝統の歌謡界の中で、弱冠17歳の橋幸夫という新進演歌歌手が着物姿で歌う「潮来笠」の大ヒットは新鮮かつ爽快でした。


この時代特に注目したいのは、日本レコード大賞を受賞した「黒い花びら」を作詞した永六輔の作詞と、坂本九の「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」という2曲です。「上を向いて歩こう」は日米共にヒットチャート1位、この5年間のランキングの中で2曲とも入るという快挙を成し遂げています。

永六輔の作る詞は、苦しく悲しい戦後を乗り越え、奇跡的な猛スピードで復興していこうとしている日本の人々に対して、真正面からストレートに「夢と希望」のメッセージが書かれています。

時代そのものが、過去を振り返らない、未来への「夢と希望」を求めていたから大ヒットへと繋がっていったのでしょう。そういった意味でもそれまでの流行歌と一線を画した曲だといえると思います。

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―昭和30年代(35~39年)  懐メロ歌謡曲ランキング ベスト10―

1位
上を向いて歩こう 坂本九
 
 
「上を向いて歩こう」
 坂本九

 作詞/永六輔  作曲/中村八大

誰もが知るであろう名作。別名「スキヤキ」でアメリカ・ビルボード誌では、週間1位を獲得し、年間においても10位となる快挙を成し遂げ一躍超人気スターとなります。彼の鼻にかかるようなあの独特の歌い方が世界的なヒットにもなって行ったのだろうと言われています。

2位
高校三年生 舟木一夫
 
 
「高校三年生」
 舟木一夫

 作詞/丘灯至夫  作曲/遠藤実

舟木一夫のデビュー曲です。この曲は、いきなりその年だけで100万枚を売り上げる大ヒットとなり、同年の日本レコード大賞新人賞を当然のごとく受賞しました。当時の彼は現役の高校三年生(レコード録音当時だが)だったこともあって曲風ともにマッチしていたことが、とても新鮮に思えたのかもしれません。

3位
アカシアの雨が止む時 西田佐知子
 
 
「アカシアの雨が止む時」
 西田佐知子

 作詞/水木かおる  作曲/藤原秀行

このアルバムジャケットは発売当初のジャケットでA面には西田佐知子を収録しB面には原田信夫の「夜霧のテレビ塔」が収録されています。この当時ではこのようなカップリングレコードが発売されていました。彼女の曲がヒットしたことによって、その後のジャケットは彼女だけの写真で構成され、芸名も西田佐智子から西田佐知子と変更し、流通していきます。

4位
こんにちは赤ちゃん 梓みちよ
 
 
「こんにちは赤ちゃん」
 梓みちよ

 作詞/永六輔  作曲/中村八大

元々は作詞家の永六輔が作曲家の中村に第一子のベビーができたことで、父親の心情を詞にしてプレゼントをした曲だったことは驚かされます。たまたまテレビ番組「夢で逢いましょう」でその曲を梓みちよが唄うことになり、永六輔は女性歌手が唄うことからもママの心情に歌詞を置き換えて歌われたのがきっかけとなったようです。彼女はその年には日本レコード大賞を受賞するなど人気歌手の地位を築きました。

5位
銀座の恋の物語 石原裕次郎 牧村旬子
 
 
「銀座の恋の物語」
 石原裕次郎 牧村旬子

 作詞/大高ひさを  作曲/鏑木創作

今も尚、カラオケの定番曲として広く親しまれている石原裕次郎と牧村旬子とのデュエット曲。老若男女を問わず知られている名曲です。この曲がデビューした翌年、同名で映画化され裕次郎と浅丘ルリ子・江利チエミに牧村旬子も加わった豪華キャストで人気を博しました。

6位
王将 村田英雄
 
 
「王将」
 村田英雄

 作詞/西条八十  作曲/船村徹

元々は歌謡浪曲(LP)の挿入歌としてあったこの曲はその当初から関西では認知されていた楽曲でした。それが全国的にヒットしたきっかけが、紅白歌合戦でこの楽曲を歌ったことで、ここから人気が出て戦後売上300万枚をも超えるミリオンセラーになったとされています。翌年、日本レコード大賞を受賞しています。

7位
いつでも夢を 橋幸夫 吉永小百合
 
 
「いつでも夢を」
 橋幸夫 吉永小百合

 作詞/佐伯孝夫  作曲/吉田正

当時、御三家の一員だった橋幸夫と当初から絶大な人気を博していた吉永小百合のデュエット曲が発売される以前から話題となり、もちろんのごこく発売まもなく30万枚の売上を記録するほどのヒット作となりました。その後も同名で映画化され、数あるコマーシャルにも使用されるなど庶民の中にも浸透するほどに親しみのある、そして古さを感じさせない名曲だといえます。

詳しくは歌謡曲【豆知識】をご覧下さい。

8位
誰よりも君を愛す 松尾和子 和田弘とマヒナ・スターズ
 
 
「誰よりも君を愛す」
 松尾和子 和田弘とマヒナ・スターズ

 作詞/川内康範  作曲/吉田正

昭和30年代に流行したムード歌謡の代表曲のひとつ。松尾和子は当初、赤坂のクラブで歌っていたところ、フランク永井に認められ歌手デビューを果たします。デュエットソングも定番化していき、ムード歌謡の女王とも称されるほどの地位を築きました。

9位
潮来笠 橋幸夫
 
 
「潮来笠」
 橋幸夫

 作詞/佐伯孝夫  作曲/吉田正

橋幸夫のデビュー曲で日本レコード大賞新人賞も受賞するほどのヒット作となりました。股旅曲の代表曲でもあります。橋幸夫といえば後にデビューする舟木一夫、西郷輝彦が揃って「御三家」として人気を集めるほどのアイドル歌手でした。吉永小百合とのデュエットで話題を作り、「霧氷」では日本レコード大賞を受賞するなど、若くして頂点に登る活躍をしてきました。

10位
見上げてごらん夜の星を 坂本九
 
 
「見上げてごらん夜の星を」
 坂本九

 作詞/永六輔  作曲/いずみたく

永六輔といずみたくの制作による同名ミュージカルの挿入歌を当初はコーラスグループが歌っていたところ坂本九が歌いヒットした。この楽曲は数多くの歌手からカバーされていて、中でも平井堅の54回紅白歌合戦での坂本九との映像デュエットは時代を飛び越えて掛け合うそのシーンは鮮明に残る名シーンでした。それほどまでに人として心に残る名曲だといえます。