フランク永井  歌謡曲【豆知識】

フランク永井(本名 永井清人)
昭和7年~平成20年(満76歳没)

映画館経営をしていた母親に育てられ何不自由ない幼少期を送ったが歌手になりたいという希望も幼い頃から芽生えている。兄を頼って上京し、進駐軍のトレーラー運転手やアルバイト生活をしながらラジオの素人のど自慢大会で「番組荒らし」と異名をとる程、入賞を繰り返す。

母親の反対を押し切ってまでもビクターと契約し、いよいよデビューを果たすが、ジャズを得意としていた彼は2年間全くヒット曲に恵まれなかった。作曲家吉田正氏との出会いや、ディック・ミネからのアドバイスもあり、ジャズから歌謡曲に転向する。そんな折、「有楽町そごう」開店のキャンペーンソング「有楽町で逢いましょう」を歌う歌手に吉田正氏推薦で抜擢され、この曲はミリオンセラーになる程の大ヒットとなった。その後は佐伯、吉田、フランクの3人で数々の大ヒット曲を連発し、一躍トップスター歌手の仲間入りをする。

4年後の昭和36年、「君恋し」で日本レコード大賞受賞。また、台湾、韓国などの国で海外公演も精力的にこなし、語り草になっているコンサートでは、趣向を凝らし、何度か芸術祭で賞を受けたこともある。

また昭和50年以降は、「おまえに」などのヒット曲を多数発表。昭和55年以降は、フランク永井の原点「ジャズ」のナンバーを積極的に取り入れ始め、演歌全盛期の昭和歌謡界の中で、アメリカナイズされた独特の個性で一流実力派歌手の地位を不動のものにした。平成の現在も根強いファンが多い。

【有楽町そごうは今はないけれど
「有楽町で逢いましょう」は永遠に生き続けている】 

「有楽町で逢いましょう」 フランク永井

作詞 佐伯孝夫
作曲 吉田正

昭和32年にこの「有楽町で逢いましょう」という曲が発表されたそもそものきっかけは、関西拠点だった百貨店「そごう」が東京進出を試みた事です。その出店地候補として挙げられたのが「有楽町」でした。当時の有楽町は、戦後の闇市の面影がまだ残っていましたが、「銀座の恋の物語」や「銀座カンカン娘」、「二人の銀座」など昭和歌謡によく取り上げられる街「銀座」に比べると華やかさに欠けるものの、大手新聞社や宝塚劇場、皇居前広場にも近いという事で若いカップルのデートコースでもあり、人通りは増え続けていた街でもありました。

そして、「有楽町そごう」が開店する際の宣伝のキャッチフレーズが「あなたと私の合言葉。有楽町で逢いましょう」だったそうです。そごう提供での「有楽町で逢いましょう」という歌番組が始まった事も加え、「有楽町で逢いましょう」というフレーズは流行語になり、当時、「有楽町」は日本1有名な街になりました。

そして着々と出店準備を進めていた「そごう」は、このような事前の宣伝力が功を奏し初日の来客数は雨にも関わらず30万人を越したといいます。


また、作詞家佐伯孝夫氏は、そごう出店前の企画段階の時点で、宣伝に使う「有楽町で逢いましょう」というフレーズにいち早く敏感に反応し、吉田正氏作曲のもと、「有楽町で逢いましょう」という曲を完成させていました。

しかし、「いったい誰が歌うのか」という事で色々と揉め、協議されたそうですが、当時まだヒット曲に恵まれていなかったフランク永井に白羽の矢が当たった事によってこの曲は空前の大ヒットを果たします。

元々ジャズ歌手だったフランク永井の甘い低音のムードのある声は、この有楽町を「最高に都会的なおしゃれな街」へと演出しました。目をつむりこの曲を聴くと、おしゃれな有楽町のティールームで恋人を待っているような気分にさせてくれます。残念な事に「有楽町そごう」は今は既に閉店されていますが、この「有楽町で逢いましょう」という名曲は永遠に生き続けています。ぜひ、ムード満点のこの曲に浸ってみてください。

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